法人税の基礎知識 - Phoenix Accounting Singapore Pte Ltd

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ビジネスガイド

法人税の基礎知識

※本ガイドは主要な事項をわかりやすく記載しており、一部の事項を省略するなどしています。適用にあたってはより詳細な法律等の理解が必要ですので、別途ご相談ください。

シンガポールの法人税について

法人税率は17%であり世界でも最も低い税率国の一つといえます。また、軽減税率を考慮すると、課税所得が200,000シンガポールドルまでは実効税率が8.3%程度となり、その他の特別措置も頻繁に行われているため税負担は日本と比較すると著しく軽くなります。

居住法人

シンガポール国内で経営及び管理される法人はシンガポールの居住法人となります。居住法人は新会社に対する免税措置、国外源泉所得に対する免税措置、二重課税防止条約に基づく源泉税の減免など税制優遇を享受できます。
通常、シンガポール法人は居住法人となりますが、株主総会や取締役会の開催状況より非居住法人と認定された場合はこれらの優遇処置を享受できないため、会社運営は税務上の取り扱いを念頭において行う必要があります。
例えば通常日本国内に本社のある日本企業のシンガポール支店は日本国内の本社により経営と管理がされているため居住法人とはみなされません。

課税対象

シンガポールは属地主義(territorial system)を採用しており、シンガポール国内の所得にしか課税されることはありません。但し、国外源泉所得であってもシンガポールへ送金等された場合は、以下を除いて課税されます。(つまり以下の場合は、非課税)

国外で課税の対象となっている以下のもの(その国の最高法人税率が15%以上)
 1.配当金
 2.国外支店の利益
 3.サービス収入

軽減税率

部分軽減税率

全ての法人に適用される軽減税率。通常の法人課税所得のうち最初の10,000シンガポールドルの75%および、次の190,000シンガポールドルの50%が免税となります。
従って、200,000シンガポールドル(日本円で約1,600万円程度)の課税所得の場合は実効税率が8.3%となります。

新規創業軽減税率

新規創業会社で、株主の全てが個人で20名以下、かつ10%以上の株式を持つ株主が最低1名いるなど、一定条件を満たす場合、設立から3年間、通常の課税所得のうち最初の100,000シンガポールドルの75%及び、次の100,000シンガポールドルの50%が免税となります。従って、200,000シンガポールドル(日本円で約1,600万円程度)の課税所得の場合は実効税率が6.4%となります。
但し、投資持株会社および不動産開発会社は、本制度の適用除外とされています。

その他の軽減税率等

その他、ここ数年間は年度によって毎年変更されますが、20%から50%の割合(但し、上限も10,000ドルから30,000ドル程度)で税額控除が認められています。

キャピタル・ゲイン非課税

シンガポールではキャピタル・ゲインには課税されません。
キャピタル・ゲインとは、株式や不動産などの売却益などですが、キャピタル・ゲインを生み出すような取引が頻繁に行われている場合などは、事業所得であると見做されて課税される可能性があるため注意を要します。一方で、キャピタル・ロス(売却損)や、それらに関連する費用についても資本性の費用として損金になりません。

繰越欠損金

シンガポールの繰越欠損金は永久に繰越が可能です。
但し、株主同一要件があり、株主の過半数が変更になった場合は、その変更前の欠損金は利用できなくなります。

グループ合算税制

グループ会社における繰越欠損金、または繰越されるCapital Allowance(減価償却)についてはグループ内の会社に移転が可能です。

移転するための要件は以下の通りになります。
 -75%以上の持分関係があること(直接・間接の保有、共通の会社による被所有)
 -シンガポール法人であること
 -事業年度末が同一であること
従って、グループ関係を構築する場合は、繰越欠損金の同一株主要件と、グループ合算税制を考慮しつつ持分関係を決定しておくことが重要となります。

経費の損金算入

シンガポールに会計基準では、業務に関係した費用及び所得を得るために必要とされた費用は基本的にすべて損金として計上可能です。
日本の税制と比較した場合の主な留意点は以下の通りです。
 -乗用車に関連する費用は損金とならない。(タクシーなどの公共交通機関は可)
 -潜在的顧客への接待費用を含め交際費は全額損金可。
 -利息費用については課税対象となる収益を生み出している投資等の資金についてのみ損金算入可。
 -減価償却は損金不算入。(但し、別途Capital Allowanceという形式で所得控除できますが、
  建物については工場のみしか認められない等、全ての固定資産に対して償却の効果はありません。)