GST(消費税)の基礎知識
※本ガイドは主要な事項をわかりやすく記載しており、一部の事項を省略するなどしています。適用にあたってはより詳細な法律等の理解が必要ですので、別途ご相談ください。
最終更新日:2024年10月17日
GST(Goods & Services Tax)とは何ですか?
日本でいう消費税に相当し、標準税率は2024年以降9%。
課税方式はインボイス方式 (*1) が採用されており、課税事業者以外の会社は9%のGSTを請求額に加えて請求をすることはできません。
インボイスの要件も詳細に決まっており、課税者番号の明示、Tax Invoiceとの表記、税率及び税額の区分表示などの要件を満たさないインボイスについては控除が認められないため留意する必要があります。
また、自社が請求先(厳密には契約上の債務者)になっていない請求書は、例え支払を行っていたとしても控除が認められません。
(*1)インボイス方式:取引ごとに発行される請求書に基づいて税額を計算し、課税事業者が正確な税務申告を行うための方式
どのような会社が消費税の申告を行う必要がありますか?
消費税の課税事業者となる条件は以下の2通りとなっており、いずれかに該当する場合は、その時点で課税事業者としての申請をしなければなりません。
① 暦年で過去1年間の課税売上高が1百万シンガポールドルを超えた場合。
② 今後12ヶ月の課税売上高が1百万シンガポールドルを超えると見込まれる場合。
①の判断は暦年を基準として、②の判断はその事象が発生した時点で行います。課税事業者になる可能性がある会社は売上高の実績や契約の状況に注意しておかなければなりません。
また、上記の条件に該当しない会社であっても課税事業者の選択の申請を行うことができますが、これは届出制ではなく当局の許可を求めることになります。
シンガポールにおける課税方式がインボイス方式であることを考慮すると、課税事業者となることが認められる時点まではTax Invoiceを発行することができないため、届出が遅れると、そのままGSTの請求漏れが生じて会社に損失が発生することになるため、正しく届出のタイミングを把握することが重要となってきます。
非課税や免税の取引とはどういったものですか?
日本の消費税と同様、非課税取引と免税取引があります。非課税取引はExempt Supplyと呼ばれ、基本的には貸付利子や配当金などの金融サービスと居住用不動産の売買及び賃貸がその主なものです。免税取引はZero-rated Supplyと呼ばれ、商品の輸出や一定の国際サービスに該当する場合、0%のGSTが課税されます。免税取引については、当該取引にかかる仕入税額控除(*2)が認められます。
また非課税取引にはRegulation 33で特別に定められた取引も含まれ、為替差損益、資本や債券の発行額、一定のヘッジ取引がこれに該当します。
(*2) 仕入税額控除:課税事業者が支払ったGSTを、売上に対して課税されるGSTから控除できる制度で、実際の納税額を軽減する役割を果たす。
申告のタイミングや申告時に気を付けるべき点は?
GSTの申告は、四半期ごとに行われます。申告の提出期日は各四半期の翌月末となるため、課税事業者は少なくとも四半期ごとに帳簿の作成、若しくは申告すべき請求書の集計をできる体制を整えておく必要があります。また、還付を適時に受けたい、などのニーズがある場合、月次の申告へ変更依頼することも可能です。
申告にあたって留意すべき点は以下のとおりです。
1.全ての請求書がTax Invoiceとしての要件を満たしているか。
2.全ての請求書が申告する会社宛に発行されているか。
3.非課税売上が存在し、これが仕入税額の控除割合に影響しないか。
4.申告のタイミングは請求日か支払日のいずれか早い日付になっているか。
GSTの申告に関しては、当局から問い合わせ発生する場合が多くあります。例えば、仕入税額控除や非課税取引の範囲が妥当かどうかの検証や、請求書を提示したうえでの検証がなされることがあります。過剰な仕入税額控除の申告や非課税取引の判断誤りなどによって罰金が科せられることもあるため、適正な申告を行うことが重要です。このため、定期的な見直しや専門家のサポートを受けることが望まれます。
GST申告が正しく行われているか確認する方法はありますか?
適正なGST申告を確保するために、セルフアセスメントの重要性が増しています。シンガポールでは、Assisted Self-help Kit (ASK) などのツールを活用することで、企業は自主的にGST申告の正確性を確認することが可能です。過去の申告内容だけでなく、これからの申告に対してもASKを活用することで、申告の適正性を維持し、誤りの発生を未然に防ぐことができます。また、自発的開示プログラム(Voluntary Disclosure Programme)を通じて、誤りがあった場合には早期に修正し、ペナルティーの軽減や税務調査のリスクの低減が期待されます。
さらに、Assisted Compliance Assurance Programme (ACAP) に参加することも、GST管理体制の強化に寄与します。ACAPは、GSTの内部管理プロセスの厳格な評価を受けた企業に対して、信頼を示す指標としてIRASによって提供されるプログラムです。特に「ACAP Premium」や「ACAP Merit」のステータスを取得した企業は、GSTに関する監査の頻度が減少し、還付手続きが迅速化されるなどのメリットがあります。このような内部統制の強化は、長期的な税務コンプライアンスの向上とリスクの低減につながります。
まとめ:GSTで悩んだら
Phoenix Accounting Singaporeでは、GST申告の代行から課税事業者としての届出、GST登録のタイミングについてのご相談、また関連制度の変更対応まで幅広いサポートを提供しております。GST申告に関してご不明な点や税務調査などでのリスクを回避したいとお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。当社の専門チームが迅速かつ的確に対応いたします。