GST(消費税)の基礎知識
※本ガイドは主要な事項をわかりやすく記載しており、一部の事項を省略するなどしています。適用にあたってはより詳細な法律等の理解が必要ですので、別途ご相談ください。
物品サービス税(GST:Goods & Services Tax)
日本でいう消費税であり、標準税率は7%。
課税方式はインボイス方式で、日本の帳簿方式とは異なります。従って、課税事業者以外の会社は7%のGSTを請求額に加えて請求をすることはできません。
インボイスの要件も詳細に決まっており、課税者番号の明示、Tax Invoiceとの表記、税率及び税額の区分表示などの要件を満たさないインボイスについては控除が認められないため留意する必要があります。
また、自社が請求先(厳密には契約上の債務者)になっていない請求書は、例え支払を行っていたとしても控除が認められません。
非課税と免税
日本の消費税と同様、非課税取引と免税取引があります。非課税取引はExempt Supplyと呼ばれ、基本的には金融サービスと居住用不動産の売買及び賃貸がその主なものです。免税取引はZero-rated Supplyと呼ばれ、0%のGSTが課税されているとの認識のもと、当該取引にかかる仕入税額控除が認められます。
また非課税取引にはRegulation 33で特別に定められている取引も含まれ、為替差損益、資本や債券の発行額、一定のヘッジ取引がこれに該当します。
課税事業者
消費税の課税事業者となる条件は以下の2通りとなっており、いずれかに該当する場合は、その時点で課税事業者としての申請をしなければなりません。
① 暦年で過去1年間の課税売上高が1百万シンガポールドルを超えた場合。
② 今後12ヶ月の課税売上高が1百万シンガポールドルを超えると見込まれる場合。
①の判断は暦年を基準として、②の判断はその事象が発生した時点で行います。課税事業者になる可能性がある会社は売上高の実績や契約の状況に注意しておかなければなりません。
また、上記の条件に該当しない会社であっても課税事業者の選択の申請を行うことができますが、これは届出制ではなく当局の許可を求めることになります。
シンガポールにおける課税方式がインボイス方式であることを考慮すると、課税事業者となることが認められる時点まではTax Invoiceを発行することができないため、届出が遅れると、そのままGSTの請求漏れが生じて会社に損失が発生することになるため、正しく届出のタイミングを把握することが重要となってきます。
申告
GSTの申告は四半期ごとに行われます。申告の提出は各四半期の翌月末となるため、課税事業者は少なくとも四半期ごとに帳簿の作成、若しくは申告すべき請求書の集計をできる体制を整えておく必要があります。
申告にあたって留意すべき点は以下のとおりです。
1.全ての請求書がTax Invoiceとしての要件を満たしているか。
2.全ての請求書が申告する会社宛に発行されているか。
3.非課税売上が存在し、これが仕入税額の控除割合に影響しないか。
4.申告のタイミングは請求日か支払日のいずれか早い日付になっているか。
GSTの申告に関しては当局から問い合わせがくる場合が多く、控除の要件も請求書の提出を求められて検証されることが多くあります。過剰な仕入税額控除の申告に関して罰金が科せられることもあるため、適正な申告を行うことが重要となっています。